イジワル御曹司の執着愛~愛されすぎて逃げられません!~
「まぁ、適当でいいよ。家事なんて、これから先毎日続けていくもんなんだから。自分なりにあれこれ試してやってみたらいい。お前、そういうの得意だろ?」
「適当に……」
「いろいろ試しつつ、自分のやりやすいやり方を考えて、実践だ」
「なるほど」
効率を考えるのは、遠子の得意分野だ。
遠子は笑ってうなずいた。
その後、直倫と近所のスーパーまで歩いて買い出しに向かい、バケットと生ハムでサンドイッチを作った。
ワインではなく、ビールを一本だけ。
最初は飲まないと遠慮していたが、節度を持って楽しめばいいと言われて、お言葉に甘えた。
簡素なサンドイッチと缶ビール。
だがそれは遠子が今まで食べた土曜の昼食の中で、ダントツに美味しいと感じていた。
(楽しいな……なんだか不思議だな)
思わず頬が緩むと、ダイニングテーブルの正面に座った直倫がふっと笑う。
「俺と一緒で楽しいんだろ?」
「なにその自信!」