DEAR. -親愛なる君へ-
「俺は、家族がいないんだぜ?」
少し、ほおを膨らませて。
それでいて視線を落としつつ、悔しげに歯を食いしばる彼。
「それは…」
フレイズの言葉を聞き、言葉を詰まらせるリタ。
しかし、エーヴィンは表情を変えずにフレイズに告げる。
「ここにいるみんなは…レヴァのみんなは同じ境遇です。家族がいないのは、私だってリタだって…同じなことくらいわかるでしょう?」
「……」
少しの沈黙が流れる。
しかし、グズンデュは僕に説明すべくといった様子で話しかけてきた。
「フレイズは、親に捨てられてしまったんだ。行く当てがなくて困っているところを僕らが見つけてレヴァの仲間になったんだ。僕とレギオン兄さんは、貧困のあまり親に殺されかけて逃げてきてる」
察した様子で、エーヴィンが自分の境遇を話し始める。
「私は、紛争が起こっている中、逃げている途中で親と生き別れました。リタも同じような境遇です」
「………」
僕は、それを打ち明けられて、どう反応したらよいのだろうか。
…博士がいたら、困らないのにな。
何度目だろう。
博士がいたら、と思うのは。