DEAR. -親愛なる君へ-
「こんなところで、自分の境遇を話して、誰がかわいそうかなんて必要ないじゃない…私たちは仲間なのよ…?それに何より、ディアがつらいでしょう…?」
「……っ」
リタの言葉を聞いて、目を見開き下を向いたフレイズ。
憤りを感じているのだろう。
どうしようもない、怒り、悲しみが感じられる。
「突然家族がいなくなってしまったとき、何も考えられなくなった。フレイズ、あなたもそうだったでしょう? ディアだって、今が一番つらいとき何だから、深入りはよしましょう?」
そんな彼に対して、リタは優しく語りかけるように話す。
僕はその一連の光景を見て、不思議に思っていた。
リタは、どうして僕がいま、「つらい」っと感じていると思ったのだろうか。
だって僕はつらくない。
つらい、と思っていない。
ただ、フレイズに質問されたから、答えようとしただけなんだ。
振り返ったリタは、ふわりと優しく笑いかけてきた。
「ごめんねディア、無理して話さなくてもいいからね」
…無理?
無理なんかしていない。
ああでも。
答えのない答えを探している僕の行為が、「無理をしている」と言うことになるのなら、リタの言うとおり無理をしていたのかもしれない。