DEAR. -親愛なる君へ-
「グズンデュ、フレイズ、ディアの両手をつかんで拘束しろ!!」
「オッケー!!」
「う、うん!?」
即座に反応して僕の右腕をつかんだフレイズと、レギオンの唐突な指示に戸惑いつつ僕の左腕をつかむグズンデュ。
それに対し、僕は反抗せずそのまま成り行きを見ていた。
リタとエーヴィンも、何事かと目を見開いている。
レギオンは、そんな僕に近づいてきたかと思ったら。
「ま、ず、は…こうだ!!」
その大きな手で僕の両頬をつまみ、上に無理矢理つり上げた。
「これが、『笑う』ってことだよ!!」
間違っている。
こんな『笑う』という表現は、僕の脳内メモリーには保存されていない。
ほら見ろ、いくら検索したって出てきやしない。
しかし。
「いひゃい…れひおん…いひゃい……」
無理矢理引っ張られているせいで話すこともままならず。
「はははっ、ディアが笑った!!」
「変な顔だね…あはは…っ」
その場にいるみんなが、レギオンに無理矢理笑顔を作らされている僕を見て笑っていた。