DEAR. -親愛なる君へ-

「グズンデュ、フレイズ、ディアの両手をつかんで拘束しろ!!」

「オッケー!!」

「う、うん!?」


即座に反応して僕の右腕をつかんだフレイズと、レギオンの唐突な指示に戸惑いつつ僕の左腕をつかむグズンデュ。

それに対し、僕は反抗せずそのまま成り行きを見ていた。

リタとエーヴィンも、何事かと目を見開いている。

レギオンは、そんな僕に近づいてきたかと思ったら。


「ま、ず、は…こうだ!!」


その大きな手で僕の両頬をつまみ、上に無理矢理つり上げた。


「これが、『笑う』ってことだよ!!」

間違っている。
こんな『笑う』という表現は、僕の脳内メモリーには保存されていない。
ほら見ろ、いくら検索したって出てきやしない。

しかし。

「いひゃい…れひおん…いひゃい……」

無理矢理引っ張られているせいで話すこともままならず。

「はははっ、ディアが笑った!!」

「変な顔だね…あはは…っ」

その場にいるみんなが、レギオンに無理矢理笑顔を作らされている僕を見て笑っていた。



< 17 / 70 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop