DEAR. -親愛なる君へ-
HEARTS◇1
「………」
僕は、目の前で倒れている人をただ見つめていることしかできなかった。
この人は、僕がモノド博士と呼んでいた人だ。
たぶん…僕を作った人。
たぶん…だけど。
「……博士…?」
ぽつりとつぶやいた。
でも、この広い研究室に響くほど、大きい声なんかじゃなくて。
周りには、見慣れたガラクタばかりだった。
「………?」
急に、博士の体が光り出した。
まぶしい光。
目を細めず、まっすぐ目を見開いた。
きっと博士はこれから消えるんだ。
僕はそう感じた。
思った通り、博士の体は程なくして消えていってしまった。
『人の死というものは、とてもはかないものである』
僕の脳内メモリーに、そう刻まれた。