DEAR. -親愛なる君へ-
だけど、おかしい。
僕には、家族なんていないんだ。
いない人のことを、どうして知らない人が知っているの?
「…あ、ごめんね…ディア…」
目を細めて、下を向いてしまうリタ。
僕は、リタの事をじっと見つめていた。
リタは、僕の知らない表情をたくさん知っているんだなあ。
「…ねえリタ」
「なに…?」
顔は下げたまま、視線だけを僕に向けてくる。
「今、何を考えてるの?」
「え…?」
目を見開くリタ。
それは、わかるよ。
驚きの表情だよね。
「それは…こんなこと言ったら失礼だと思うけど…」
「うん」
「……なんだか、ディアがかわいそうだなって…悲しくなって」