DEAR. -親愛なる君へ-
人の笑顔で表す気持ちの表現は様々で、とても複雑なもので。
今のリタの気持ちは、「悲しい」ものだと彼女は言う。
…人は、悲しいときも笑うものである。
僕の脳内メモリーに新しく保存された。
「それではレギオン、食料もそろそろ尽きてくるころでは?」
エーヴィンが、レギオンにそう質問したことで、僕とリタの視線はレギオンへと向けられる。
レギオンは大きくうなずき、「実にピンチだ」と言い放った。
「じゃあ、また金目のものがたくさんありそうな家を襲おうぜ!!」
木の枝を剣に見立てているのだろう、フレイズはそれを高々と天に向かって突き上げた。
そんな彼を見つめて微笑したグズンデュ。
「ほんと、フレイズがいるとどんなときも元気が出るって言うか…」
「ええ、こんな時、フレイズのような元気な子がいてくれると精神面で非常に助かりますね」
エーヴィンも付け加えてそう言った。
フレイズは、はじけるような笑顔で楽しそうに枝を振り回していた。
「……」
この人たちは、いろんな笑顔をもっているんだな。
素直に、そう思った。