DEAR. -親愛なる君へ-
―――ガッシャアアン!!
突然、大きな音がして、同時に薄暗い研究室に一筋の光が差した。
さっきの、博士の体を包んでいた光とは全く違うもので。
突き刺すような光。
むさ苦しい暑さ。
知ってる。
博士と一緒に外に出て散歩をしたときに感じたものだ。
しっかりと、脳内メモリーに保存されている。
「ばか!! こんな派手にやったら見つかるだろ!!」
「仕方ありません、強行突破するしかないです!!」
光が差している方から、何人かの人間の声がする。
ああ、博士以外の人間の声を聞くのは初めてだ。
僕の耳の中にある渦巻き貝が音を聞き分け、コンピューターでその声を分析する。
1,2,3…5人いるようだ。
男は3人、女が2人。
研究室の壁に何かの機械で穴を開けたのだろう。
そこまでは分析可能だ。
しかし、なんの為に穴を開けたのかは不明。
「しっ!! 誰かいるぞ……!!」
「私に任せて」