DEAR. -親愛なる君へ-

「フレイズ、どけ」

「レギオン!! だめだって、話くらい聞けよ!!」


興奮気味なフレイズを、レギオンが片手で制する。

そんなレギオンを、歯をぎりぎりと食いしばって見つめるフレイズ。


9歳の彼と、15歳のレギオンとの身長差は一目瞭然だった。


「……ディア」


そんなフレイズを横切り、僕の前に立つレギオン。
僕との身長差はほぼないに等しく、レギオンのまっすぐな瞳はもう目の前だった。

「お前はジュエルハーツなのか?」

「…さっきも言ったけど、わからない。 だけど、『ここ』にあるのは間違いなくダイヤモンドだ。 博士が埋め込んだのを僕は知ってる」

素直に放すと、レギオンの表情は少しゆがんだ。

「……どうしてすぐに言わなかった?」

「言わなければいけないことだったの?」

「当たり前だろう!!」

もはや、叫び声に近いレギオンの声。

悲痛。

そんな表現がぴったり合った。


< 38 / 70 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop