DEAR. -親愛なる君へ-
一人の少女が、煙の中から姿を現す。
黒くて長い髪をなびかせ、まっすぐに僕に向かって突きつけているのは…見たことのない機械だった。
博士の作るたくさんのガラクタでも、あんなものはなかった。
眼球型コンピューターでその機械をズームして分析する。
弾丸が装備され、見た目よりも重いようだ。
引き金を引けば、装備されている弾丸が音速以上のスピードでこちらに飛んでくる。
…が、避けることは十分可能。
彼らにとっての武器…と言った表現が正しいだろうか。
つまり、彼らにとって僕は、敵なのかな。
「金目のものを出しなさい。素直に応じれば、あなたの命は助けます」
金目のもの…。
彼らの目的は…金…?
「……」
僕は、さっきまで博士が倒れていた場所に視線を移す。
博士、博士、博士。
こんなとき、貴方がいれば。
なにも知らない僕に、たくさんの知識を与えてくれた博士。
だけど、研究室より外の世界にいる人間たちと会話をするには、まだ早すぎたんだよ…。