DEAR. -親愛なる君へ-
「聞こえなかったのですか? 早く金目のものを…!!」
カチャリと引き金に指をかける少女。
僕は、黙ってその少女を見つめていた。
それから打ち放たれた弾丸で貫かれたら、僕はどうなるんだろう。
博士と同じように、消えてなくなるのだろうか。
『人の死というものは、とてもはかないものである』
つい先ほど保存されたメモリー。
そこで1つの疑問にあたる。
…僕は…果たして『人』なのだろうか…。
「聞いていますか?」
先ほどよりも、苛立ちが感じられる少女の声。
それを制するように、少年が立ち上がった。
「エーヴィン、やめろ。…様子がおかしい」
エーヴィンと呼ばれた少女は、静かに機械を持った両手を降ろす。
「…しかし、レギオン…」
エーヴィンを制した少年は、レギオンと呼ばれているようだ。
レギオンは、静かに僕に近づいてくる。