DEAR. -親愛なる君へ-
そして思うのだ。
僕はやはり、レヴァの一員ではなかったんだと。
男の腕に全体重をかけているリタが、僕を振り返って必死に叫んだ。
「ディア!! あなただけでも逃げて!!」
リタの声に反応したように、グズンデュが僕を見た。
「僕らはこういうの慣れてるから!! 早く!!」
「………っ」
足が…すくむ……という表現が正しいのだろうか。
僕の体は、何かに縛られてしまったかのように動かなくなった。
視線だけを必死に走らせる。
みんなが……まだ10歳前後の皆が必死になって大の大人たちに向かっていっている。
思い出したのは、あの……小さな背中。
細くて丸くなった背中。
『ディア!! いいから逃げなさい!!』
必死に叫んで、僕のことを追いかけてくる奴らから僕を逃がしてくれた。
僕は何も思わず逃げた。
博士は逃げろと言った。
だから逃げた。
……僕を守ってくれた、博士を置いて。