DEAR. -親愛なる君へ-
刹那。
鈍く走った。
僕の背中に、体に……胸に。
両手でもたれた短剣が、僕の背中に突き刺さり、そのまま僕は地面にたたきつけられる形になった。
「げほ……っ」
衝撃で、何かがこみ上げてくる衝動に駆られる。
しかし、最近ろくに物を摂取していないせいで、何も出てきたりはしなかった。
「てめええっ!!」
目をカッと見開いたフレイズが、木の枝を振り回して男に飛びかかる。
それをひらりと交わしたその男は、傍に唾を吐いて頬にできた傷を拭った。
「ち……ッ、面倒なガキだ。一旦引くぞ……!!」
その言葉を聞いた他の二人の男は何も言わずにうなずき、わらわらと逃げるようにレヴァの隠れ家を後にした。