DEAR. -親愛なる君へ-
HEARTS◇FINAL
―――あたたかいなあと、思った。
誰かの体に、身を包まれている。
「ディア!! 嫌だよ、ディア……!!」
ひっそりと目を開ければ、リタの顔が大きくうつった。
同じように日差しを背にしている形で、その顔はよく見えなかったけれど。
……涙を流していることは、わかったよ。
「馬鹿野郎!! 逃げろってあれほど……!!」
周りには、レヴァのみんなが僕を取り囲んでいる。
……こんなに、人に囲まれたのは……初めてだなあ。
今更ながらに、そう思った。
どうして泣いているの?
そう聞きたくて、口を開けた。
だけど、声が出なくて。
おかしいな。
……息をしているだけで、疲れるんだ。
ああ、あいつらの剣が、僕の体に刺さって、肺の役割をしていた風船が割れちゃったのかな……?
モノド博士はもういないし、なおしてくれる人も、いないだろうな。