DEAR. -親愛なる君へ-
「……!!」
風景はうってかわって、住み慣れた博士の研究室へと移り変わる。
カチャカチャと機材を操る博士と、台の上に横たわる……僕。
『そういえば、肝心な名前を考えていなかったなあ』
僕の体のネジをきゅっきゅとねじりながら、独り言を言う博士。
『親愛なる、とダイヤモンドをかけて……ディアにしよう』
今日からお前の名前はディアだ。
そう言って博士は笑った。
自分の中に眠るダイヤモンドの半分を、僕の中に埋め込みながら。
ああ、僕の名前には、そういう意味があったんだ。
博士の命の半分が、僕に眠っている。
そして、感情のない僕に無償の愛を捧げることで、人間に育て上げようとしてくれた博士。
しかし、ジュエルハーツである子をつくるという博士の使命はすでに全うされていたのだ。
だから、博士は消えた。
光の粒となって、消えていった。