DEAR. -親愛なる君へ-
視線の先に、一人の少年が立っていた。
「……」
距離があって、その少年の表情はかろうじて見える程度だった。
私は、なぜかその少年の姿を、彼に重ねてしまった。
初めて会ったときの彼は、なぜかはわからないけれど……さみしくてかなしくて、とても小さく思えて。
空っぽに見えた。
けれど、その少年は。
彼とは打って変わって、あたたかさに満ちた人間のそれだった。
けれど抱いた違和感は変わらない。
どこか不思議な雰囲気をかもし出している。
彼の姿を重ねてしまったのは、きっと違和感と不思議な雰囲気が同じだったからだろう。
「……あ…」
ふと、目が合った。
彼は、やわらかく……笑ったのだ。
『―――…ありがとう』
それは、彼が最後に口にした言葉。
そのまま、光となって消えてしまった彼。
そのまばゆい光の中で垣間見えた、彼の……ディアの、初めての笑顔。