夢の言葉と陽だまりの天使(下)【夢の言葉続編③】
「正直、すごく悔しいです。
…でも、立ち止まっている暇はないんです。」
負けを認めなくては、何も始まらない。
結果を受け止めなくては、前に進めない。
「別の方法で、もう一度お願いに上がります。
必ず、我が社と契約して頂けるように。」
俺は頭を深く下げると、顔を上げると同時にロイス様に手を差し出した。
「キサラギの勝利、おめでとうございます!」
不思議と、悔しい筈の俺の口からスッキリ出た言葉だった。
……きっと、以前の俺なら言えなかった。
親に捨てられて、リディアを失って…。
情緒が不安定だったあの頃、表向きは演技していても、心の何処かにあった汚い感情。
俺は”天才”なんかじゃない。
いつも計算して、良い人に見られるよう、完璧に見えるよう、演技してきただけだ。
そんな俺を変えてくれたのは…。
”どうもしないよ。何も変わらない。”
…俺を信じてくれる、大切な人。