夢の言葉と陽だまりの天使(下)【夢の言葉続編③】
”アカリさんに渡せなくて…。
会えなくて、ごめんなさい…。”
そんな気持ちを込めてお墓の前に屈んで手を合わせると、サアァ…ッと優しい風が吹いて、まるで私を慰めてくれている様だった。
その暖かい風に思わず笑みをこぼすと…。
横目に、チラッと人の気配を感じた。
顔を向けて、その人を見た瞬間。
時が止まった様な錯覚に陥って、私は呼吸をするのも忘れてその人を見ていた。
薄い栗毛色の髪と、瞳の男性。
長身で、眩しいくらいに輝いていて、絵本の世界から飛び出してきた王子様の様なその人を…私は知っていた。
でも、リディア母さんが持っていた写真や雑誌は、もう私の年齢と変わらない位に前の物。
それなのに、その写真と変わらない…。
ううん、それよりも更に素敵な雰囲気を持つその姿に信じられなくて…戸惑った。
嘘、でしょう…?
心の中で何度も何度も問い掛けた。