夢の言葉と陽だまりの天使(下)【夢の言葉続編③】

”ヴァロン”…。
一緒に居たアカリさんが、その男性をそう呼んだ時。心臓が、ドキリと跳ねる。

”お母さんはね、ちゃんと出逢えたよ。
格好良くて、優しい。理想の王子様に。
綺麗で、眩しくて。
傍にいると、溶けちゃいそうだった。”…。

…リディア母さんの日記に書いてあった言葉通りの人で、見ているだけで私の心は次第に熱くなっていった。


”お父さん”。

そう呼ぶのを、名乗るのを躊躇った私に、ヴァロンさんは気付いてくれた。
私の名前を聞いてくれて、名刺をくれて、いつでも来いって、待ってるって…。ありがとう、って…言ってくれた。

……。

あれから、一年経って…。
今年の6月15日もここで会えるかな?って胸を弾ませていたけど、ヴァロンさんは今長期任務に行っていて来られないとの事だった。

けど、リディア母さんの事をちゃんと忘れずに命日にお花を送ってくれた。
本当に、優しくて素敵な男性。
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