夢の言葉と陽だまりの天使(下)【夢の言葉続編③】
「お母さんが、羨ましいな。」
そう呟きながら、私は自分の右手を見つめた。
ヴァロンさんが私を引き止めてくれた時に掴んでくれた、手。
自分の手を包み込んでくれた、あの大きな暖かい手を思い出して私の胸はトクンッと脈を打つ。
私も恋をするなら、あんな人がいい。
あの日からずっとそう思う様になっていた。
「///…私、相当なファザコンだよね。」
自分で自分の頭を軽く叩き、ツッコミを入れながらも、”会いたい”という気持ちは日に日に増していくばかり。
幼い頃から写真を見て、あの人が”父親”だと認識していたのに…。
実物は想像を遥かに超えていた。
思い出すだけで、溶けてしまいそうな気持ち。
それなのに、傍に居たいと思ってしまう。
「……お母さん。
私、自分の気持ちに正直に生きて…いいかな?」
首に掛かっている鍵のアクセサリーが付いたネックレスを握り締めて、私はリディア母さんの墓を見つめた。