夢の言葉と陽だまりの天使(下)【夢の言葉続編③】

「このまま、私の下で働かないか?」

「……。」

俺が顔を上げて視線が合うと、アランはフッと笑った。
何となく、予想していた質問にたいして驚かなかった。

奴は俺が嫌いだ。
…けど。
どんなに嫌いな相手だろうが、利益の為ならば自分のものにする。
そういう男だと、この一年以上共にした時間で充分過ぎる程分かっていた。

俺の返事は決まっている。


「…折角のお誘いですが、辞退させて頂きます。」

しかし、仮にも依頼人。
俺は出来るだけ丁寧な言葉で断りの言葉を返す。


「私の本職はここにはありません。」

「…私が、簡単に手放すと思うか?」

「……。
では…。契約を、破るつもりですか?」

「……。」

視線を合わせたまま、しばし沈黙の時が流れた。

依頼人と揉め事は起こしたくない。
そう思い、俺は奴と働いた時間を思い出しながら話し始めた。
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