夢の言葉と陽だまりの天使(下)【夢の言葉続編③】

「正直、貴方の下で働いた期間は嫌な時間ばかりではありませんでした。
素直に、楽しいと…。
とてもやり甲斐を感じた事も事実です。」

俺は素直な気持ちを言う。
初めは、ただアカリの幸せを護る為に引き受けた仕事だった。

それなのに、いつの間にか熱中して…。
知れば知る程楽しくなって、とてつもない達成感を得られた日々だった。


「……でも。
その背景には、やっぱり”夢の配達人”があるんです。」

何もなかった俺に…。
こんな俺でも誰かの役に立って、何か出来る事があるんだって教えてくれた。
マスターが創ってくれた何でも屋がなければ、俺はただの捨て猫だった。

夢の配達人は俺の原点。
その仕事を辞めてまでやりたい仕事なんて、ない。


「死ぬまで続けたい。
そう心から思える仕事は、夢の配達人だけです。」

「……ほぅ。
”死ぬまで続けたい仕事”、か…。」

俺の返答を聞いてアランは口角を上げて笑うと、くるっと振り返り…。
机の上に置いてあった、栓の空いたワインの瓶の先端部を手で持った。
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