夢の言葉と陽だまりの天使(下)【夢の言葉続編③】
ガッチャーンッ…!!!!
っと、部屋に響き渡るガラスの割れる音。
「……なら。
ここで死ぬか?マオのまま…。」
ゆっくり振り返ったアランが、割れたワインの瓶の鋭く尖った先を俺の顔面に向ける。
部屋に香る、飛び散ったワインの匂い。
元々アルコールが好きではない俺は、顔をしかめて奴を見つめ返す。
「……知ってるよ。
君達、夢の配達人が絶対に犯してはいけない事。」
アランが笑いながら、割れた瓶を無抵抗でいる俺の頬にヒタヒタと当てて言う。
「”人を殺す事”。
いかなる場合でも、決して人の命を奪ってはいけない。……でしょ?」
「……。」
それは、ジジイが…。
マスターが俺達、夢の配達人に決めた数少ない決め事。
依頼人を失望させる事、夢を奪う事…。
そして、命を奪う事。
これだけは絶対に、犯してはいけない。