夢の言葉と陽だまりの天使(下)【夢の言葉続編③】
強さは力ではない。
だから俺達、夢の配達人は身を守る戦術を中心に学んできた。
一応、刃物や拳銃、火薬などの扱い方も勉強しているが、実戦で人間相手に使う事はまずない。
正当防衛。
なんて、言葉は存在しない。
だからマスターは、無理な仕事は引き受けなくていいと…俺達を決して縛ったりはしない。
その代わり、引き受けた依頼先で例え”何か”があっても…。全て自己責任だ。
「私はまだ依頼完了書にサインしていない。
…まだ、お前の契約者だ。そうだろ?」
アランが俺の顔を覗き込んで、笑う。
今までも、こんな風に挑発して強請ってくる奴等は珍しくなかった。
これまでは、冷静に対処してきた。
……のに。
「…何だ、その目は。
やっぱり野良猫はしつけがなってないな。」
何故だか、心と身体が奴に反抗する。
奴を睨み付けながら拳を握り締めて、奥歯を噛み締めて、俺は何とか溢れそうな感情を抑えていた。