夢の言葉と陽だまりの天使(下)【夢の言葉続編③】
「…さ、早く帰ってあげて下さい。」
「うん、ありがとう。」
彼は私から荷物を受け取ると、背を向けて扉の方に歩いて行く。
遠ざかって行く背中。
……これで、最後。
今日で、最後の…お見送り。
もう二度とここへ帰ってくる事はない。
「っ……マオ様ッ!!」
思わず名前を呼んでしまった私に、彼は背を向けたまま立ち止まった。
「…楽しい時間を、ありがとうございました!
どうか、お幸せにっ…!!」
「……。」
私のその最後の叫びには、彼はもう何も答えずに…。再び歩み始めて、去っていった。
もう、振り返らない。
きっと彼の…最後の優しさ、だった。
……。
「……参ったなぁ…。
フラれて、もっと好きになっちゃう…なんてっ……///。」
初恋の想い出の詰まった静かな部屋で、私は泣いた。
でも、悲しい筈なのに溢れ出る涙はとても温かくて…。素敵な恋だったと…。
恋をして良かったと、心から思えた。
……
………。