夢の言葉と陽だまりの天使(下)【夢の言葉続編③】
長期任務でヒナタの成長を見られないヴァロンの為に書き始めた日記。
帰ってきたら、これを見せながら日々の成長をたくさん聞かせてあげたい。
私は椅子から立ち上がって窓に近付くと、外を眺めた。赤や茶に染まった葉がハラハラと散っている中庭。
私が17歳の秋は、ヴァロンが召し使いの”バロン”として傍にいてくれて、一緒にお父さんの情報を探る為にこの別荘を連れ出してくれた。
夜中にこの窓をコンコンッて叩いてくれて、カーテンを開けたら外のバルコニーに彼がいて…。
まるで絵本に出てくる王子様みたいに、私を連れ去ってくれたの。
「……早く、迎えに来てくれないかな。」
ヴァロンとの想い出がたくさん詰まったこの別荘は、私にとって大切な場所であり…。何かある度に彼の事を思い出して、切なくなってしまう場所でもある。