夢の言葉と陽だまりの天使(下)【夢の言葉続編③】
だから、結婚式の写真も…。
今までヴァロンと一緒に写ってる写真なんて、一枚もない。
本当はずっと一緒に撮りたかったけど、彼が嫌だと思う事を強制したくなかった。
それなのに、つい…。
「……いいよ。撮ろう?」
カメラを握り締めて、今にも泣き出しそうに俯いていた私に、ヴァロンが言った。
その優しい言葉に顔を上げて見ると、歩み寄ってきた彼が穏やかに微笑んで私の頭をポンポンッと撫でてくれる。
「これからは、撮ろう。
…ヒナタが大きくなった時、一緒に写ってる写真がなかったら…かわいそうだもんな。」
そう言って私の手からカメラを取ると、彼は沈んだままの私に向かってカメラを構えた。
「…ホラ!
そんな表情してないで微笑って下さ〜い?
俺はアカリの笑顔が、一番大好きなんです。」
明るい声で、少しふざけた口調で私を励ましてくれる。
その優しさが嬉しくて、余計に涙が出そうになるのを私は堪えた。