夢の言葉と陽だまりの天使(下)【夢の言葉続編③】
いつの間にか、穏やかになる気持ち。
ヴァロンの優しい言葉は、本当に魔法の呪文。
彼が居るだけで、その場が和んで心が暖かくなる。
…こんなに優しい人を、何で貴方達は手放してしまったんですか?
ヴァロンを知れば知る程、疑問しか浮かばない。彼の両親が、彼を棄てたという事。
「……。ねぇ…。
ヴァロンの、お父さんとお母さんって…どんな人だったの?」
私は勇気を出して、ずっと聞きたかった事を口にした。今聞かなかったら、またずるずると先延ばしになって聞けない気がして…。
間隣りに居るヴァロンの横顔を見つめた。
すると、カメラをいじっていた彼の手が止まって…。そのまま黙り込んでしまう。
やっぱり、触れてほしくない事だったんだろうか…。と、気不味い沈黙に少し後悔した私を察する様に、ヒナタが手を伸ばしてヴァロンの服の袖をギュッと握った。
その行動にヴァロンはヒナタを見てフッと微笑むと、呟くように言う。