夢の言葉と陽だまりの天使(下)【夢の言葉続編③】
「初めまして、マオと言います。
アラン様の仕事を手伝う間、こちらにお世話になります。
どうぞよろしくお願いします。」
広間に集められた使用人達の前に立って、マオ様は優しい笑顔と声で私達にそう言った。
不思議な人。
…多分、みんながそう感じていた。
アラン様の親戚というだけあって髪の色も瞳の色も…。
姿はとても良くアラン様に似ている。
……けど。
マオ様を取り巻く雰囲気は全く違う。
優しい暖かい感じと黒ぶちの眼鏡を掛けたマオ様の姿に、きっと使用人のみんなが先代の主人を思い出しただろう。
「マオ、お前に専属の使用人を選ばせてやる。
さぁ、好みの女を選べ。」
マオ様の挨拶で少し穏やかだった空気が、アラン様のその一言で曇る。
”好みの女を選べ”…。
アラン様にとって専属の使用人とは身の回りの世話は勿論、夜の相手…夜伽を意味する。