夢の言葉と陽だまりの天使(下)【夢の言葉続編③】
「これから暫く滞在するんだ。
…お前だって女が欲しい夜があるだろう?」
女を選べと言われて、どういう意味かと思ったのだろう。
少し顔をしかめたマオ様の肩を組みながら、アラン様が私達にも聞こえる様にそう耳打ちした。
アラン様やその親族、ご友人やお客様のお手付きになる事はこの屋敷では名誉であり出世に繋がる。
勿論それを目当てでお声が掛かるのを待っている使用人達も少なくない。
…けど。
私のように家族の為に奉公に来ていたり、好きな人や恋人がいる使用人達もいる。
決して、すべての人が望んでいる幸せではないのに…。
アラン様が当主になってからはそれが当たり前。
「どんな女が好みだ?
可愛い系か、綺麗系か…。」
「…い、いえ。
///…私には必要ありません。
アラン様のお心遣いだけ、頂戴します。」
面白そうにからかうアラン様にマオ様は戸惑った様子でやんわりと断る。