夢の言葉と陽だまりの天使(下)【夢の言葉続編③】

ユイは俺の娘だけど…。
彼女にとって俺は産まれてこの方、父親という存在ではなかったのだ。
今日で顔を合わせるのはまだ二度目。
他人と言われても、おかしくない存在だろう。

……。

つまり…。今の俺はいきなり女の子に触れた、ただの変態も同然。


「///っ…わ、わりぃ…!」

ハッと我に帰ると、俺は慌ててユイを下に降ろして深く頭を下げた。

会いに来てくれたのに…。
せっかく会いに来てくれたのに、こんな一瞬で嫌われてしまったのではないかと不安になる。


「ご、ごめんっ…な?
そ、その…つい、嬉しくて……。」

娘に”パパ嫌い”って言われて傷付く父親という生き物の気持ちを、初めて身近に感じた。
”キモい”とか言われたら、絶対に立ち直れない。

タラタラと汗をかきながら、下げた頭をなかなか上げられずにいると…。くすくすと可愛らしい笑い声が俺の耳に届き、服の袖をくいくいっと引かれた。
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