夢の言葉と陽だまりの天使(下)【夢の言葉続編③】
〈回想〉
【アラン邸/アランの部屋】

「……では。これで失礼致します。
レナ、レイ、帰りましょう。」

依頼完了書を作成し、全てが終わってレナ達とその場を後にしようとした時の事。


「随分と、愛されてるんだね。ヴァロンは…。」

私達の背後に向かって、アラン様は鼻で笑った様に声をかけてくる。
気にせずに部屋を出ようとドアノブに手を伸ばすと…。


「ねぇ、君達の大好きなヴァロンの過去。…知りたくない?」

更に続いたアラン様の言葉が、思わず私の手を止めた。

”ヴァロンの過去”。
そのネタで強請ってきた人間は、今までにも数え切れない程いた。
普段ならハッタリや嫌がらせだと、たいして気に止めない事だが…。相手がこのアラン様だからか、なんだか意味深に聞こえる。

立ち止まったまま、動けずにいる私。
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