夢の言葉と陽だまりの天使(下)【夢の言葉続編③】
(4)
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幼い頃、出会って間もない頃。
ヴァロンはいつも、何かに怯えていた。
ちょっとした事で過呼吸になったり、錯乱して…。
発作を起こす度にリディアが献身的に付き添っていた。
実の両親から余程酷い扱いを受けていたのだと思い、必要以上に彼の過去を深く詮索はしなかった。
いつまで経っても、本当の笑顔を見せなくて…。我が儘で、口の悪い問題児。
…いや、それは見せかけで……。
内に秘められた並外れた才能。
まるで、子供の皮を被った悪魔だと…。
噂された事もある。
……。
不可能だと思う事をやってのけるヴァロン。
”人を殺してるんだよ”…。
天才だからこそ、伝説の夢の配達人と呼ばれる程の存在であるヴァロンだからこそ…。
失っている彼の記憶の中に、そんな過去があっても…。不思議じゃないとさえ感じてしまう。
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