夢の言葉と陽だまりの天使(下)【夢の言葉続編③】
【洋服屋】

「……どうしよう。」

試着室に籠って、私は俯いた。

自分に似合う服なんて全然分からなくて、とりあえず可愛いと思う服を数着選んで試着室に入ったものの…。どれも自分には似合わない。

童顔で、背も低くて、胸も…ないし。
写真や雑誌で見たリディア母さんとは似ても似つかなくて、悲しくなる。
”夢を届ける妖精”って言葉がピッタリな美貌だった母。


「私は、本当に…二人の娘なのかな。」

鏡に映る自分を見る度に、ずっとそう思ってきた。
幼い頃は、きっと年齢を重ねれば成長するのだと…。いつか、美しい両親の様になれるのだと思っていた。


……でも、駄目なんだ。
やっぱり私には、無理なんだ。

そう思ったら、急に生まれ育った島が懐かしくなってきて、私を育ててくれた先生と奥さんの顔が思い浮かぶ。
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