夢の言葉と陽だまりの天使(下)【夢の言葉続編③】
「ま、いっか。どれが気に入った?
なんなら全部……。」
「や、やっぱり!止めます…!
今日は、止めますっ……!!」
ヴァロンさんの言葉を遮って、試着した服を元の場所に返しに行く私。
実は、自分が想像していたよりもはるかに高かったこの店の服。
島を出る際に支度金を貰っているけど、決して裕福ではないのに私の為に貯金してくれていた先生達の気持ちや、この先の事を考えるととても使えない。
華やかで、物価も高い、未知の世界。
色んな意味でこの港街での生活を考え直そうと思っていると…。私の右手を、暖かい大きな手に握られた。
「!……ヴァロン、さん?」
「ちょっと来て。」
そのまま手を引かれて連れて行かれたのは、再び試着室。
「…んと、これと。これと……。
ん、…こっちだな…!
ほいっ!これ着てみ?絶対、可愛いから。」
呆然としている私に、ヴァロンさんは自分が選んできた服を自信満々に差し出す。