夢の言葉と陽だまりの天使(下)【夢の言葉続編③】
【ケーキ屋】

「ユイ、好きな物注文していいんだぜ?どんなケーキが好きなんだ?」

「ありがとうございます。
あ、じゃあ…ちょっとショーケースで実物を見て来て良いですか?」

ユイはそう言うと席を立ち、入り口付近にあるショーケースの方へ行ってたくさん並ぶケーキを眺めていた。
そんなユイを席から見つめながら、俺は運ばれてきたグラスの水を飲む。
実は緊張してずっと喉がカラカラだった。

デート経験の少ない俺。
年頃の娘を退屈させていないか不安でしょうがない。
”恋人”じゃなくて”娘”ってのも、また難しいもので…。
当然、アカリが相手の時とは違うし…。仕事とも、違うし…。

世間の父と娘の関係をもう少しじっくり見ておくべきだった、と後悔していた。

そんな事を考えていると、ユイが戻ってきて正面の席に座る。
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