夢の言葉と陽だまりの天使(下)【夢の言葉続編③】

「美味そうなケーキあったか?」

「はいっ、苺のケーキにしました。
…ヴァロンさん、お好きですよね?」

俺の問い掛けに答えると、ユイは質問を返してきて微笑んだ。

苺のケーキ。
俺には、リディアとの想い出の物。
俺の誕生日にリディアが毎年焼いて祝ってくれた、想い出の味だ。


「よく、知ってるな。」

「苺が大好物で、リディア母さんが多く食べたら拗ねたんですよね?」

「///っ…んな事まで知ってんのかよ。」

娘に自分の格好悪い過去を知られていると思うと恥ずかしくて、俺が口元を押さえて俯くとそれを見てユイがふふっと微笑む。

引き取られた当初、拒食症でまともに食事が出来なかった俺の為にリディアが買ってきた大量の果物。
中でも、苺が気に入って今でも1番と言っていいくらいに好きな食べ物。
それを娘と食べるなんて、不思議な気持ちだった。
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