夢の言葉と陽だまりの天使(下)【夢の言葉続編③】

「リディアが売っ払った後、買い戻したんだよね。
……いつか、またここで会えるんじゃないかって。俺の、未練。」

格好悪いと思いながらも、待っていた。
死んだなんて、いなくなったなんて思いたくなかった。

買い戻して、あの日グチャグチャにしてしまった家内を片付けて…。大切にしてきた空間。

……。

やっと、会えたな。
やっと、戻ってきてくれた。
大切な、娘という宝物と一緒に…。


「な、ユイ。
良かったら、この家使ってくれないか?」

「!……え?」

「この家に、住んでほしい。
きっと、リディアも喜ぶと思うんだ。」

俺のお願いに、ユイは「でも…。」と戸惑いながら鍵を握り締めていた。

…けれど。
その後ゆっくりと家の中を歩いて、俺に微笑んでくれる。


「…お言葉に甘えて。住まわせて頂きます!」

可愛いユイの笑顔に、微笑み返しながら…。俺は心の中で、呟いていた。

おかえりなさい、って…。

……
………。
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