夢の言葉と陽だまりの天使(下)【夢の言葉続編③】
「アンケート、書けましたか?」
「あ、はい。」
優しい声で尋ねられて、私が二人分のアンケートを差し出すと…。
受け取った、上にあったヴァロンが回答したアンケートを見てクマさんが言った。
「欲しいもの、黒い髪と黒い瞳。
夢は、お父さんになる事。」
「……え?」
その呟きに、私は思わずじっとクマさんを見つめた。
「昔、ある子供が願った事です。
その子は、田舎町の片隅にある公園で…。一人、雨上がりに水溜りを見つめていました。」
クマさんの、まるで昔話を語るような口調に、私は時が止まった様に聞き入ってしまう。
「暫く見つめていると、その子は泥水をすくって…。自分の頭から被りました。何度も、何度も…。
”何をしているの?”と尋ねると、子供は私に質問を返してきました。
”ねぇ、どうしたら瞳は黒くなる?”…と。」
「っ……。」
クマさんのその話に…。
まさか、と騒ぎ出す私の心。