夢の言葉と陽だまりの天使(下)【夢の言葉続編③】
クマさんが、誰の事を…。
その子供が誰の事を指しているのか、分かってしまう…。
「その子は、色素の薄い自分の髪を泥水で必死に黒くしようとしていました。
そうすれば、母親がきっと喜ぶのだと…。
父親のようになれば、きっと微笑ってくれると…信じていたんでしょうね。」
クマさんは、そう言って…。
アンケート用紙から顔を上げた。
私もゆっくりと、同じ方向を見ると…。
その視線の先に居るのは…。
通信機で、連絡を取っている…ヴァロン。
……。
今の、話…。
ヴァロンの、事?
そう確信するには、充分だった。
っ…この人。
ヴァロンの過去を、知ってる…?
そう思ったけど…。
突然の事で、頭の中が真っ白で、言葉が出てこない。
それに、もしかしたらヴァロンを良く思わない”敵”かも知れないという恐怖が私を襲った。
視線をクマさんに移すと、クマさんも私の方を見つめる。
視線が交わって、思わずビクッと身体を揺らすと、クマさんは私に割引き券を差し出した。