夢の言葉と陽だまりの天使(下)【夢の言葉続編③】
「……幸せにしてあげて下さい。」
身体が固まった様に動かない私の手に、クマさんは割引き券を握らせると…。
すれ違い際にそう囁く様に、言った。
”幸せにしてあげて下さい。”
その言葉は、すごく優しいもので…。
”怖い人ではない”と、さっきまでの警戒が一気に解けるのを感じた。
「っ……待って、……ッ。」
ヴァロンの過去を聞きたい。と、思って慌てて振り返ったが…。
ついさっきすれ違ったばかりの筈の、クマさんは…もういない。
……。
一体、誰…?
「アカリ?どうしたんだ?」
呆然とクマさんが消えた先を見つめていると、いつの間にか傍に戻ってきたヴァロンに肩を叩かれて私は彼を見た。
「割引き券、貰えたか?
…お、すげ〜30%割引き券じゃん。良かったな!」
「!…え?あ、本当だ。」
割引き券を手に取ったヴァロンに笑顔で言われて、私も微笑んで見せる。