夢の言葉と陽だまりの天使(下)【夢の言葉続編③】
……そうだった。
極度の緊張からすっかり自己紹介さえ忘れていた。
我に返って姿勢を正すと、私は深く頭を下げる。
「も、申し遅れました。
どうぞ、スズカと…お呼び下さい。」
「……スズカ?」
「///っ……は、はい。」
返事する声が上擦ってしまう。
優しいマオ様の声に、自分の名前が特別な言葉の様に響いて聴こえる。
「良い名前ですね。
……ね?スズカって、どんな字書くの?」
「え?っ……あ。
///…”鈴の歌”って、書いてスズカ…です。」
「へぇ〜。
…なんか、歌が上手そうな名前。
いいな、僕は歌が苦手だから羨ましいです。」
そう言ったマオ様は私と一定の距離を置いたまま、その後も私の事を色々と聞いてくるばかりで…決して触れてはこなかった。
自然な会話にすっかり引っ込んだ涙。
ホッとした気持ちとなんだか少し残念な気持ちが葛藤した、マオ様と過ごした最初の夜。
………。