夢の言葉と陽だまりの天使(下)【夢の言葉続編③】

屋敷に滞在と言っても、基本的にマオ様はアラン様に付いてお仕事で忙しい日々。
一週間に一度、屋敷に戻られる程度。
だからお戻りになる日は胸が弾んだ。

夜の、二人きりの時間が待ち遠しかった。

……。

マオ様はその名前の通り、猫の様な人。
優しい、美しくも可愛いともとれる容姿に手を伸ばしたくなるのに…。
一定の距離には近付けさせてくれず、かと言って私を不快にさせる様な発言や態度は一切しない。
屋敷に戻られる夜は明け方まで会話をしてくれた。

……。

何度目か夜を共に過ごすうちに分かった事がある。
みんなの前では、他の使用人の前では笑顔を見せるマオ様が、私と二人きりの時は全く微笑まない事。

初めは私との時間が退屈なのかと思ったけれど、きっと違う。
みんなの前で微笑んでいるのは愛想笑い。
仕事の延長なんだと…。

夜の、猫の様な姿が本当のマオ様。
そう分かった時、私はすごく嬉しかった。
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