夢の言葉と陽だまりの天使(下)【夢の言葉続編③】
昔、父によく言われた。
”他人に流されてフラフラする男は最低だ。
そんなのは優しさじゃない。
自分の意志を貫ける男を選びなさい。”って…。
マオ様に出逢って、父のその言葉の意味と深さを知った。
「……よしっ。こんな感じかな?
全くの初心者なんで、きっちり指導をお願いしますね?スズカ先生。」
「///…はいっ。」
下手なりに一生懸命描かれた下絵。
仕事でお疲れなのに屋敷に帰宅する度に慣れない手芸を必死に学んで、丁寧に猫のぬいぐるみを作り上げていく。
少しの妥協も許さず、自分が納得するまで何度も何度もやり直しをして…。
とても初心者とは思えない位に綺麗に仕上がっていくマオ様のぬいぐるみ。
そのぬいぐるみを見つめる瞳が、強く美しい。
”羨ましい”…。
そう思わずには、いられない位のマオ様の表情。
ずっとずっと、見ていたいと思った。
〈回想終了〉