夢の言葉と陽だまりの天使(下)【夢の言葉続編③】

初めて別荘で顔を合わせた時の衝撃は、今でも忘れられない。
化粧をして、着飾ったアカリは一層私に亡き妻を思い出させてくれた。

幸せに、なってほしい。
心からそう思って、彼女の笑顔をヴァロン君に託した。

……。

アカリの懐妊の報せを受けた時は、年甲斐もなく声を上げて喜んだ。
幸せに暮らしているのだと、ヴァロン君と暖かい家庭を築いているのだと安心した。


……しかし。
私に届いた報せはそれだけではなかった。

ヴァロン君が終わりの見えない長期任務に行くのだと…。
その間、私の別荘にアカリが滞在したいとの事だった。

”何もこんな時期に長期任務にいかなくとも!”と思ったが、その任務の依頼人の名を聞いて私は何も言えなかった。

アカリの元婚約者の”アラン”。
婚姻がなくなっても私の会社との友好関係を存続させる為に、ヴァロン君が選んでくれた道。
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