夢の言葉と陽だまりの天使(下)【夢の言葉続編③】
口が悪く不良の様に何処か子供っぽい普段の彼とは一変して、真面目そうな誠実さが溢れた好青年。
黒ぶちの眼鏡の奥の穏やかな瞳。
とても良く調べてこの任務に臨んだのだろう。
今のヴァロン君は、アラン君の父親…。
つまり先代によく似ている。
私は先代の時からこの会社とは友好関係にあり、プライベートでも時々食事をしたりする仲だった。
ヴァロン君の”マオ”の姿は、若き日の先代の様で何処か懐かしい気持ちを思い出させてくれる。
「?…アルバート様?」
「!……あ、いや。すまない。」
つい、思い出に浸り黙り込んでしまった。
私は軽く咳払いをし、他に人がいないのを確認するとヴァロン君に囁く様に口を開いた。