夢の言葉と陽だまりの天使(下)【夢の言葉続編③】
〈回想〉
【モニカ15歳の夏/アルバートの別荘】

「……。
バロンはアカリ様の事が好きなの?」

嫌な表情一つせずに私の世話を焼いてくれるバロンに、直球な質問をぶつけた。
別に意地悪でも、だからどう…という気持ちがあった訳じゃない。

…ただ、羨ましかった。
誰かを好きとか、誰かの特別になるとか…。

食事の席でのアカリとバロンを見た時に”お嬢様と召使い”という立場でありながら、2人の雰囲気は私が知る召使いとの関係とは明らかに違っていた。
柔らかくて、楽しそうで、素直にいいなって思ったの。

私には、分からない気持ち。


「…モニカ様は、まだ恋をなさった事がないのですね?」

「!……え?」

心を覗かれたみたいでドキッとした。
驚く私を見つめる、バロンの優しい瞳。
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