夢の言葉と陽だまりの天使(下)【夢の言葉続編③】
【アルバート別荘/アカリの部屋】

……。
けれど、今はどうだろう?

今のヴァロン…。
”マオ”の姿の彼からは、あの時に私が感じたアカリに対する想いが分からない。


だから私は今日アカリに付き添う事にした。
彼女の事も心配だったし、何よりも自分の目でヴァロンを見て…。
いや、2人の姿を見て安心したかったのだ。

嬉しそうに、幸せそうに微笑み合う2人を見たい。
私が羨ましかった恋の形を、憧れた愛の形を、もう一度信じさせてほしかった。


そんな事を思いながら、私はまだ鏡台の前で身だしなみの確認をするアカリをチラッと見た。
旦那様を待ってる妻と言うより、まるで初めてのデートを楽しみにしている恋する乙女のような彼女。

こんなに健気なアカリを泣かせたら、いくらヴァロンでも親友として許せないわ!
心の中でそう呟き、ふと窓の外を見ると…。
見慣れない車が近付いてくるのが見えた。

……
………。
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