夢の言葉と陽だまりの天使(下)【夢の言葉続編③】

(3)


アカリと一緒にバルコニーに通じる大きな窓ガラスに近付き、外の様子を伺う。

別荘の敷地内に止まる高そうな高級車。
アルバート様のものでも、私が知る親戚の物でもない。
間違いなくあれに乗っているのは、アラン様。
あんな高価な物を所有出来る程の人物なんだと、改めて思い知らされる。
アルバート様や私達の家よりも、上なんだと…。

……。
ヴァロンが相手の条件を飲んで従った理由が分かった気がした。
まだ跡を継いだばかりだと聞いたけど、きっと先代達を凌ぐ力を…アラン様は持ってる……。


「…っ……ヴァロン…ッ。」

「!……え?」

アカリの声にハッとして外を見ると、運転手が開けた後部座席の扉から降りて来たのは…。
アラン様と”マオ”の姿をしたヴァロン。
その姿に驚く。

私が最後に見たのは”バロン”の時のヴァロン。
その時の姿とは、全く違う。
髪型や髪色だけじゃなくて、雰囲気も別人だ。
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