夢の言葉と陽だまりの天使(下)【夢の言葉続編③】

視線に気付いて、何度アカリの方を見上げようと迷った事か…。

…でも、一度見てしまったら……。
彼女と目を合わせてしまったら、俺はもう”マオ”ではいられなくなってしまうと思った。

……。

だから、正直。
アランが急な仕事が入って食事会を辞退すると言い出した時は、色んな意味でホッとした。

アカリをアランに近付けさせる事もなくなるし、俺自身も断る口実が出来た。


俺の居るアルバート様の部屋と、外の廊下を繋ぐ扉一枚。
すぐそこに、アカリが居る事に…。
俺はずっと気付いていた。

掛けたい言葉は、話したい事は、たくさんある。

……でも。
それは、今の俺じゃない。


「休暇を頂けるのでしたら、他にやる事があります。
…仕事を1日でも早く終わらせる。
今、私にはその事しか頭にありませんから。」

精一杯の、俺の言葉。
アカリにちゃんと伝わっただろうか?
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